これからの時代の遺品整理で気を付けておくべきこと

遺品整理と言うことが良く使われるようになってきたのは、実は結構最近になってからです。昔は家族の誰かが亡くなると、形見分けなどはやっていましたが、遺品は家族内で済ませていました。

というのも、昔は二世帯、三世帯で住んでいる家族が一般的で高齢になってくると、そもそも所持品自体が少なく、家族もほとんど把握していたため、それほど大変な作業ではなかったことも多いでしょう。

ところが現代は高齢の両親と同居する過程は年々減少して、今は高齢者の一人暮らしも珍しくはなくなってきました。そうした高齢者が亡くなってしまうと、所持品も多く、人によっては日常的な片付けもしっかりできないため、ゴミ屋敷のようなところでなくなってしまう人もいて社会問題にもなってきました。

そうなると遺品整理も大変で、不用品やゴミとの分別から入らないといけません。結局遺族だけでは解消できずに遺品整理などを専門にやっている業者などに依頼することが増えてくるのだと思います。

それに加えて最近ではもうひとつの問題があります。それはデジタル遺品と言われる存在です。高齢者の場合はインターネットを使いこなしている人も少ないため、それほど大きな問題ではありませんが、60代ぐらいの人ならSNSをやっている人も少なくありません。

今回はこうした遺品整理におけるトラブルなどについてまとめてみました。

 

今後も増えてくるであろうゴミ屋敷問題

 

昨今大きな問題になっているのがゴミ屋敷です。都市部では新築のマンションや分譲住宅の建築が進む中、地方では空き家がどんどん増えています。日本の人口はどんどん減っているにもかかわらず、新築を購入する人が多いため、どうしても古い家は空き家として残ってしまうのです。

特に田舎で老夫婦が二人で暮らしている世帯、または片方が亡くなって一人で暮らしている場合など、だんだんと片付けがおっくうになってきて住居がゴミ屋敷のようになっていしまう人も珍しくありません。

ゴミ屋敷に住んでいる人は精神疾患を抱えている人が多い印象ですが、高齢になってくると体力的な問題や認知症などを発症するケースもあって、こうしたゴミ屋敷状態に住んでいる人も増えつつあります。

そうした人たちが亡くなってしまうとゴミ屋敷の片付けと遺品整理をまとめてやらないといけなくなってしまいます。ゴミ屋敷の片づけは部屋の広さにもよりますが、場合によっては相当のゴミの量が発生するため、仕分けなども含めると大変大掛かりな作業になってしまいます。

そのため専門業者に依頼する人も多く、もし自分たちで全部片づけたとしても結局出てきたゴミは業者に持って行ってもらわないといけないので、最初から業者に依頼したほうがいい場合もあります。

 

故人のアルバムなどの想いでの品の取り扱い

 

遺品整理をしている中でよく聞くのが故人の昔の写真やアルバム類です。特にこうした思い出の写真などが出てくると、思わず片付けの手を止めてしまって捨てるかどうか迷ってしまう人も多いでしょう。

最終的に処分をどうするかは遺族が決めることになりますが、もし残しておきたいのであればいろんな方法があります。

ひとつはそのままの状態でアルバムなどにまとめてしまっておく方法です。古いアルバムや色あせた写真などはそれ自体が昔の思い出の雰囲気があって、後で見返すのにも良いと思います。

しかし、写真やアルバムの量が多い場合は保管しておくにしても長期間収納するスペースが必要になってきます。保管場所がないという人は、古い写真をデジタル化してしまうという手もあります。

デジタルデータにしてしまえば劣化せずに保存できて場所もとらないのでおすすめです。

データ化する方法としては、いくつかありますがひとつはアプリです。写真をデジタルデータに変換して保存することが可能なアプリがいろいろとリリースされているので、こうしたアプリを使って自分でやればほとんど料金はかかりません。

もうひとつはスキャナーです。写真もスキャンできるものであればそのまま写真を1枚1枚セットしてデジタルデータに変換することができます。スキャナであればそこそこ高品質なデータとして保存することが可能です。

最後は専門業者への依頼です。遺品整理などを行なっている業者さんにはこうした古い写真などをデジタルデータにしてくれる業者さんもたくさんあります。

もし大量に写真などが見つかって処分に困っている場合はデジタル化するという方法も検討してみてはいかがでしょうか。

但し、ここでひとつ注意点としてはデジタル化した元の写真は処分することになるのですが、ゴミ箱などには捨てずにをお寺や神社でお焚きあげで供養するのがいいでしょう。

 

デジタル遺品の取り扱い問題

 

高齢者の場合はデジタル遺品問題はほとんどありませんが、これからはこのデジタル遺品問題がどんどん増えていくと思われます。実際今の50代60代ぐらいの世代であれば、インターネットはもちろんSNSなども使いこなしている人も多く、スマホ内にはかなりの個人情報や様々な利用履歴などが残っていると考えられます。

こうしたデジタル遺品はどうやって処理すればいいでしょうか。

主にデジタル遺品と言われるものは、スマホやパソコン、タブレットですがもちろんこれらの機器だけではなく、重要なのは中に入っているデータです。仕事関連からプライベートに至るまで非常に多くの個人情報がこれらの端末に入っています。

仕事のことやお金関連のことは遺族も把握しておく必要はありますが、問題はプライベートな部分です。例えばご主人が亡くなった後にスマホから見知らぬ女性とのやり取りがあったとか、そういったことが発覚してしまうと後々トラブルにもなり兼ねませんし、実際そういったケースが増えています。

デジタル遺品に関しての問題は最近になって増えてきた問題でもあり、これからは高齢者のスマホ保有率もどんどん上がってくるため、大きな社会問題となっていくでしょう。

 

孤独死などの問題

 

大きな問題となっているのが孤独死に関する問題です。今までは人ごとのように思っていた人も多いかもしれませんが、独身のまま生涯を終える人も多く、また、1人暮らしの高齢者が急速に増えている現状を考えると、今後も増える傾向にあるでしょう。

ここで大きな問題になるのはすぐに気づいてもらえずに死後何日も経過してから発見されるケースです。季節にもよりますが夏場だとかなりの異臭が発生したりして、近隣住民にも迷惑をかけてしまうことにもなります。

遠く離れた地方に住んでいる自分の両親が孤独死になってしまった場合、その後は遺品整理だけでなく部屋全体の片付けが非常に大変なものとなってしまいます。

こうした現場は素人では片づけられないため、専門業者に依頼することになります。主に特殊清掃を行なっている業者がこれに当たりますが、特殊な薬剤などを使わないと臭いやシミなどが残ることになってしまいます。

場合によっては部分的にリフォームなどをする必要も出てくるでしょう。

 

遺品整理の問題などまとめ

 

遺品整理は残された遺族が行なうのが一般的ですが、最近は業者に依頼する人も多いです。ただ、どこまでを処分していいのかどうか判断に迷うことも多いと思います。

都市部に住んでいる人が地方で両親が住んでいた空き家などの遺品整理を業者に依頼する場合もあります。例えば大阪に暮らす息子夫婦が九州の空き家の遺品整理を依頼する場合は、遺品整理を大阪で行なっている業者ではなく、九州の業者に依頼することになると思います。

こうした場合、自分の地元ではないのでネットなどの口コミで探すことになりますが、しっかりと評判などを調べて依頼するようにしましょう。また、できれば当日は立ち合いしたほうがトラブルは少ないでしょう。

これからもここに挙げたような問題はどんどん増えていきます。特にデジタル遺品に関しては、ますます大きな問題になってくる可能性があるでしょう。

人間はいつかは必ず死に直面しますし、人生いつどこでどうなるかは分かりません。

自分が亡くなった場合の遺品も残された自分の家族が整理することになります。特にデジタル遺品については自分が亡くなった後に、スマホやパソコンを第三者に見られると思うと、なかなか気が気ではない人も多いでしょう。

万一の場合に備えてデジタルデータなどの取り扱いには気を付けておくようにしましょう。